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夏は登山 冬はテレマークスキー。 歳なので、身体が、そろそろ言う事を聞いてくれなくなりつつ有ります。 でも何とかだましだましやって行こうと思ってます。

2012年9月17日月曜日

馬蹄形+α

先日の地区の飲み会での話で、ハマピィから恐ろしいお薦めが有り、そいつを実行してきました。
そのお薦めのルートとは、白毛門~谷川の馬蹄形を回って、谷川で降りずにそのまま県境山脈を平標まで縦走して、平標新道を下山して電車で車を回収に向かうと言うもの。超ロングルートだね。オイラでは思いも付かない。普通で有れば2泊とか3泊の長さだよ。

只でさえ大変な馬蹄形を回り、平標まで行き、おまけに上りの最終電車18:11というリミットのタイムも決められちゃっているから、出発は早いに越した事は無いので、暗いうちから登りだすべく、ごそごそと出発。何時もの通りに牛丼屋で早い朝飯を掻き込んで土合に向かう。
何時もの白毛門の登山口の駐車場にとんば号を待たせて置き3:00に出発。予定通りの時間。

ヘッドランプの灯りが照らし出す狭い視界。時折木々の隙間から輝く星が見える。昨夜は、酷い雷雨が有り天気が心配されたがどうやら大丈夫そうだな。
どうも、早朝と言うか深夜と言うか、まだ身体が起き切って居ない感じで今一つ身体に切れが無い。それでも、先を急ぐ気持ちがそうさせるのか?結構速いペースであっという間に白毛門山頂に着く。まだ空は真っ暗で灯りを消して眺めると恐ろしい程の星の数にしばし見とれる。
東の方角が白み始めて来た。急速に朝はやって来る。



笠ヶ岳と朝日岳の間で、朝日が昇る。雲海が綺麗で写真を撮ったり眺め回したりで、脚が進まない。
風が強く吹いているおかげで汗が出ない。雲が稜線湧き上がり吹き下りるとともに消えて行く。
これから進むトレールも途切れ途切れに見えるだけ。目指す平標山方面も湧き立つ雲に見え隠れしている。


朝日岳を通過して清水峠へと降って行く。この辺りは標高が低く成っていて風の通り道。徐々に雲の中に入り景色が見えなくなる。すれ違う登山者の方々と朝の挨拶を交わしながら駆け下りる様に清水峠に着く。
まだそれ程腹は空いていないが、おにぎりを頬張る。
今日の食糧は、おにぎり3個 カロリーメイト2ブロック×2 ビスケット4枚 shotz×6 70%濃度のアクエリアス3L ウーロン茶500ml。
暫く地図を眺めながら行程の確認とタイムの再検討。後半の体力の枯渇を考えると万太郎山到着時点で10時間掛っていると電車の時間に間に合わない可能性が有る。もし、10時間以内に万太郎に着けなかったら、大人しく吾策新道を降りた方が良いのかもしれない。時間が惜しいので休憩もそこそこに先へと進む。


七ッ小屋へと登り返し蓬峠へ。ここで水分の残量のチェック。ここから先は、簡単に水の補給が出来る所無い。このままの気温と天候の状態にもよるが、補給の必要は無しと判断して先へと進む。
スライドするハイカーは若いソロの方が多い。その中のお一人と会話を交わすと、「昨日もこんな感じで、風が強くガスは湧きだすものの天候が悪く成る感じはしない」と言っていた。「でも、昨夜は雷雨が来てビックリしたけど、その後の星空は素晴らしかった」とも。

武能岳 茂倉岳と高度を上げて、谷川岳に向かう。馬蹄形縦走ならここでおしまいなのだが、今回は通過点でしかない。目標のレベルを上げてしまうと、何故か疲れを感じなく成ってしまうから不思議だ。しかし、何時もながらの混雑振りには参ってしまう。先を急ぐ身なので声を掛けて先に行かせてもらったり、危険の無い程度に無理に追い越させて頂いたり無礼な行為をして先を急ぐ。


混雑する山頂を横目に、肩の小屋を通り過ぎ、人影まばらな県境の縦走路に脚を踏み入れる。
さすがに、疲労は溜まりつつ有り、空腹も相まって脚が出なくなる。それでも何とかオジカ沢ノ頭まで粘ってここで、最後のおにぎりとカロリーメイトを腹に入れて一ここちつく。後ろから追いついて来たお兄ちゃんとぼそぼそと会話を交わし、先を急ぐからと立ちあがり万太郎へ。


小障子 大障子と疲れた脚には応える地形が続くので、温存していたshotzを投入。ほぼ10時間で万太郎に到着。
さて、ここで判断を迫られる訳だが、水はまだ十分有るし、shotzもまだ残っている。後は気力と体力だが・・・。地図を眺めて考える。この先は毛渡乗越まで降ってエビス大黒 仙ノ倉へと登り返すハードな道。

エ~イ、行っちまえ!。

湧きだすガスの中を足元だけ睨みつける様にして進む。本当に疲れている時のshotzの効果はてきめんで、ぼんやりして来た頭はスッキリするし、疲れていても嘘の様に脚が動く。
見えない景色の中、一歩づつ歩を進めエビス大黒を登り切り一休み。相変わらず強い風が吹き続けている。雄叫び一つ気合を入れ、弱気に成った気持ちを奮い立たせて仙ノ倉へ。
追い付いたおじちゃん おばちゃんに今までの行程を訊かれ、説明してもそれ程の反応は帰って来なかった。あまり山には詳しくないようだ。かなり疲れている感じだったので、疲れている同士ハイテンシ、ョンでエールを交わして先を急ぐ。


視界の無い中、仙ノ倉を通過して、これ程長かったっけ?と疲れのせいか麻痺した距離感覚に戸惑いながら平標山に到着。何時もならまだ賑わっている時間だけど、見えない景色の中に居たのはお二人だけ。シャッターを押してもらい暫く会話を交わして、平標新道から下山に入る。


登り脚は持ってくれたが、はたして下り脚は持つのだろうか?。
どうやら電車の時間には間に合いそうだが、余裕が有るに越した事は無いので、最後の力で駆け下りる。高度を下げるに従いガスは晴れて景色が見えだし、長く歩いたご褒美の様な虹が掛る。
西ゼンの沢を登られた帰りだと言う先行者を追い抜いて、熊除けの笛を吹きながら終わりつつ有る脚をだましだまし運び、毛渡沢の徒渉点に着く。ここまで来ればと、ほっと一息。


緩やかな林の中のトレールを進み毛渡沢の林道に出る。道は新たに整備されつつ有り、吊り橋も立派な橋に架け替えられていて、以前の面影は無い。
時計を見ると電車の時刻まで2時間位有るので、とぼとぼと時間調整しながら林道を歩いて、土樽の駅に到着。自販機でコーラを買ってプシュッと一人で祝杯をあげる。

歩行時間14時間32分電車を待つ間、地図を広げて歩いてきた行程を追う。しかし良く歩いたもんだ。何キロあるのだろう。
疲労感と、やり終えた充足感と・・・。

自分では考えもしないだろう行程を薦めてくれた ハマピィ ありがとう。





6 件のコメント:

ばば さんのコメント...

しかし、まあ、なんというか。。。。
いったい何キロあるがんだろっかの。
ご~ぎだて。。。。

朝早いと、ご来光も見れて
綺麗なんだ。
でも、ヘッドライトをつけて
目の前に真っ黒けな動物が!!!
なんてことになったら、どうしたらいいか分からない。。。。

オラも来年あたり谷川馬蹄形まわってみるかの?????
嘘。。。。。

たか さんのコメント...

正直言わせてもらえれば、やっぱり異常な速さです。
あの行程を14時間半でなんて。。。
凄い、としか言いようがありません。
先日に朝日岳経由蓬峠下りの半馬蹄形を歩きましたがそれだけで大変だったと言うのに。

この3連休はあまり天気は良くなかった様ですね。
15日に土樽-万太郎-谷川-茂倉-土樽と歩きましたが、やっぱり上の方はガスと強風でした。
万太郎から大障子ノ頭の方へ下ってからオジカ沢ノ頭までのちょっと低い所だけはガスが晴れることもあってなんとか景色が楽しめましたが、風はとにかく強かったです。

とんば さんのコメント...

ばばさん

このコースの経験者のご近所さんに「死ぬ前に行って来た方がいいよ!」って薦められて調子に乗って行ってきました。まず普通だったら考え付かねぇ長さですね。
細切れには歩いた事が有るけど、通して歩くと成るとやっぱりきつかったです。でもお陰で満天の星空、綺麗な朝の風景そしてなっと言ってもやり終えた充実感と自分がどれだけ歩けるのか知る事が出来た事が何よりの収穫でした。
彼が「死ぬ前に・・・」と言った言葉の意味が分かった気がしました。

ぜひ馬蹄形やってみて下さい。一度にとは言いません。蓬峠までとか清水峠までとか徐々に距離を伸ばして長く歩く感覚と充足感を味わってみて下さい。山に対する感じ方が違ってきますよ。

とんば さんのコメント...

たかさん コメントありがとうございます。

今回は結果的に電車の時間と言うタイムリミットの時間を決められちゃった訳ですが、スピードにこだわった訳ではないです。実際、乗り遅れた時の為に、タクシー代として結構なお金を用意して臨みました。未体験の距離を歩き通す事が目標でした。何もサポートの無い状態であの距離をスピードを意識して歩くのは無理です。一歩一歩自分の身体との対話でした。
速い人なら10時間を切っちゃうでしょうが、オイラは何とか歩き通せた程度だと思います。
天候の事ですが、はっきり言ってあの風とガスに助けられた感が有ります。晴天で陽に曝されていたら、水が足らなくなっていたかもしれません。あのガスも視覚からの情報の遮断として助かったのかもしれません。何度かある登り返しを見上げた時の絶望感を断ってくれたからこそ、心が折れずに歩き通せたのかもしれないと思います。

はまっピぃ! さんのコメント...

こんにちは。ハマです。
2ヶ月もすぎてからの遅コメで恐縮ですが。

大変お疲れ様でした。
もっと早いタイムでいける人はいると思いますが、イベントでもなく、1人でそこに挑戦、そして達成できる人はいあまりいないでしょう(と思いたい)。
それができることに敬意を表します。

僕がやってから5年くらいたちましたが、かなり思い出深い山行の一つで、吊り橋まで降りてきたときの感動はいまでもよく覚えています。
一緒に行ったわけではないのにこの気持ちを共有できるというのはいいですね!嬉しいです。

来年、逆周り楽しんでください(笑)。

とんば さんのコメント...

はまっピぃ!

喉元過ぎれば・・・で、辛さや苦しさは記憶からすっ飛んで、今は「あの距離を歩き通せたんだ!」って言う充実感だけが残っています(ほんとかよ?)。
あのルートを完歩出来た事によって、自分の中の距離感や価値観の一部が変化したのは間違いありません。
浜ちゃんが薦めてくれなかったら生涯行く事の無かったルートだと思います。感謝してますよ。
身近に同じ話題や思いを共有出来る人が居る事を嬉しく思います。

逆回りですか?今はまだ想像すら付きません。(笑)