先日の地区の飲み会での話で、ハマピィから恐ろしいお薦めが有り、そいつを実行してきました。
そのお薦めのルートとは、白毛門~谷川の馬蹄形を回って、谷川で降りずにそのまま県境山脈を平標まで縦走して、平標新道を下山して電車で車を回収に向かうと言うもの。超ロングルートだね。オイラでは思いも付かない。普通で有れば2泊とか3泊の長さだよ。
只でさえ大変な馬蹄形を回り、平標まで行き、おまけに上りの最終電車18:11というリミットのタイムも決められちゃっているから、出発は早いに越した事は無いので、暗いうちから登りだすべく、ごそごそと出発。何時もの通りに牛丼屋で早い朝飯を掻き込んで土合に向かう。
何時もの白毛門の登山口の駐車場にとんば号を待たせて置き3:00に出発。予定通りの時間。
ヘッドランプの灯りが照らし出す狭い視界。時折木々の隙間から輝く星が見える。昨夜は、酷い雷雨が有り天気が心配されたがどうやら大丈夫そうだな。
どうも、早朝と言うか深夜と言うか、まだ身体が起き切って居ない感じで今一つ身体に切れが無い。それでも、先を急ぐ気持ちがそうさせるのか?結構速いペースであっという間に白毛門山頂に着く。まだ空は真っ暗で灯りを消して眺めると恐ろしい程の星の数にしばし見とれる。
東の方角が白み始めて来た。急速に朝はやって来る。
笠ヶ岳と朝日岳の間で、朝日が昇る。雲海が綺麗で写真を撮ったり眺め回したりで、脚が進まない。
風が強く吹いているおかげで汗が出ない。雲が稜線湧き上がり吹き下りるとともに消えて行く。
これから進むトレールも途切れ途切れに見えるだけ。目指す平標山方面も湧き立つ雲に見え隠れしている。
朝日岳を通過して清水峠へと降って行く。この辺りは標高が低く成っていて風の通り道。徐々に雲の中に入り景色が見えなくなる。すれ違う登山者の方々と朝の挨拶を交わしながら駆け下りる様に清水峠に着く。
まだそれ程腹は空いていないが、おにぎりを頬張る。
今日の食糧は、おにぎり3個 カロリーメイト2ブロック×2 ビスケット4枚 shotz×6 70%濃度のアクエリアス3L ウーロン茶500ml。
暫く地図を眺めながら行程の確認とタイムの再検討。後半の体力の枯渇を考えると万太郎山到着時点で10時間掛っていると電車の時間に間に合わない可能性が有る。もし、10時間以内に万太郎に着けなかったら、大人しく吾策新道を降りた方が良いのかもしれない。時間が惜しいので休憩もそこそこに先へと進む。
七ッ小屋へと登り返し蓬峠へ。ここで水分の残量のチェック。ここから先は、簡単に水の補給が出来る所無い。このままの気温と天候の状態にもよるが、補給の必要は無しと判断して先へと進む。
スライドするハイカーは若いソロの方が多い。その中のお一人と会話を交わすと、「昨日もこんな感じで、風が強くガスは湧きだすものの天候が悪く成る感じはしない」と言っていた。「でも、昨夜は雷雨が来てビックリしたけど、その後の星空は素晴らしかった」とも。
武能岳 茂倉岳と高度を上げて、谷川岳に向かう。馬蹄形縦走ならここでおしまいなのだが、今回は通過点でしかない。目標のレベルを上げてしまうと、何故か疲れを感じなく成ってしまうから不思議だ。しかし、何時もながらの混雑振りには参ってしまう。先を急ぐ身なので声を掛けて先に行かせてもらったり、危険の無い程度に無理に追い越させて頂いたり無礼な行為をして先を急ぐ。
混雑する山頂を横目に、肩の小屋を通り過ぎ、人影まばらな県境の縦走路に脚を踏み入れる。
さすがに、疲労は溜まりつつ有り、空腹も相まって脚が出なくなる。それでも何とかオジカ沢ノ頭まで粘ってここで、最後のおにぎりとカロリーメイトを腹に入れて一ここちつく。後ろから追いついて来たお兄ちゃんとぼそぼそと会話を交わし、先を急ぐからと立ちあがり万太郎へ。
小障子 大障子と疲れた脚には応える地形が続くので、温存していたshotzを投入。ほぼ10時間で万太郎に到着。
さて、ここで判断を迫られる訳だが、水はまだ十分有るし、shotzもまだ残っている。後は気力と体力だが・・・。地図を眺めて考える。この先は毛渡乗越まで降ってエビス大黒 仙ノ倉へと登り返すハードな道。
エ~イ、行っちまえ!。
湧きだすガスの中を足元だけ睨みつける様にして進む。本当に疲れている時のshotzの効果はてきめんで、ぼんやりして来た頭はスッキリするし、疲れていても嘘の様に脚が動く。
見えない景色の中、一歩づつ歩を進めエビス大黒を登り切り一休み。相変わらず強い風が吹き続けている。雄叫び一つ気合を入れ、弱気に成った気持ちを奮い立たせて仙ノ倉へ。
追い付いたおじちゃん おばちゃんに今までの行程を訊かれ、説明してもそれ程の反応は帰って来なかった。あまり山には詳しくないようだ。かなり疲れている感じだったので、疲れている同士ハイテンシ、ョンでエールを交わして先を急ぐ。
視界の無い中、仙ノ倉を通過して、これ程長かったっけ?と疲れのせいか麻痺した距離感覚に戸惑いながら平標山に到着。何時もならまだ賑わっている時間だけど、見えない景色の中に居たのはお二人だけ。シャッターを押してもらい暫く会話を交わして、平標新道から下山に入る。
登り脚は持ってくれたが、はたして下り脚は持つのだろうか?。
どうやら電車の時間には間に合いそうだが、余裕が有るに越した事は無いので、最後の力で駆け下りる。高度を下げるに従いガスは晴れて景色が見えだし、長く歩いたご褒美の様な虹が掛る。
西ゼンの沢を登られた帰りだと言う先行者を追い抜いて、熊除けの笛を吹きながら終わりつつ有る脚をだましだまし運び、毛渡沢の徒渉点に着く。ここまで来ればと、ほっと一息。
緩やかな林の中のトレールを進み毛渡沢の林道に出る。道は新たに整備されつつ有り、吊り橋も立派な橋に架け替えられていて、以前の面影は無い。
時計を見ると電車の時刻まで2時間位有るので、とぼとぼと時間調整しながら林道を歩いて、土樽の駅に到着。自販機でコーラを買ってプシュッと一人で祝杯をあげる。
歩行時間14時間32分電車を待つ間、地図を広げて歩いてきた行程を追う。しかし良く歩いたもんだ。何キロあるのだろう。
疲労感と、やり終えた充足感と・・・。
自分では考えもしないだろう行程を薦めてくれた ハマピィ ありがとう。