そんな訳で、人気の百名山オイラのホームの一つ巻機山の裏の顔 裏巻機登山道の 旧道(牛が岳コース)と新道(割引山コース)を周回して巻機山に登って来た。
随分前に成るが、1回旧道を辿り牛ヶ岳に登ろうと試みて、9合目付近で力尽きて引き返した事が有る。今回はそのリベンジの意味も有るし、先日パーマークのスタッフと話をしていて、「裏巻機の旧道を登り新道を降りて来る周回コースを歩いてみたいのだが様子を聞かせて」と話題が持ち上がった事が有る。旧道の様子は有る程度思い出せたのだが、新道は踏み込んだ事の無い道なので答えに窮した。「とんばなら知ってると思ったんだが・・・。」そう言われると行かない訳にはいかない。
何せ時間が読めないルートなので早く立った方が良いに決まっている。陽は大分登るのが遅くなって来たので、早いと言ってもたかが知れてるが、ヘッデンを点けずに歩けるのは5時位だろうと、其れを目安に出発するプラン。
何時もの様に、コンビニで朝飯用の弁当と行動食を買い、モソモソと駐車場で朝食を済ませて永松のキャンプ場(五十沢キャンプ場)に向かう。直に行けば我が家から15分とかからない近さだ。
ルートは、水力発電所の送水鉄管路脇の巡視路を調整池まで登り裏巻機渓谷のトレッキングコースと成っている水力発電施設の建設用の作業道現在は巡視路として整備されている道を、最奥の取水口まで歩いてそこから旧道に取り付く。キャンプ場に入場して車道を 天竺の里 まで登ると時間を30分ほど短縮できるが、入場料やゲートオープンの時間など制約が有る様なので(大体そんな事考えもしなかったが)昔ながらのルートで行く事に。
登り口の手前の橋近くに路駐して身支度を整えて5時ちょっとすぎに出発し、前記の道を進む。最近歩いた後は無いが、刈り払いなどの手の入った痕跡は見える。何故か今回はポールを持って来たので、振り回しながらクモの巣を払い進む。約三十分の準備運動で調整池に出る。すぐ隣に舗装道路やら散策道が有るのを見ると複雑な気持ちに成るが、そんな物は見て見ぬふりをして先を進む。
よくぞこんな道を作ったもんだ |
この取入れ口を渡り岩山に取り付く |
山肌を削り、出っ張った岩を穿ち地形に沿って歩道は続いている。電源開発の大義名分の元に、土木技術と労働力を結集した道だ。この道から見える岸壁や渓谷を眺めるだけでも充分満足できる。
旧道の取り口は発電用の水の取水口の先だ。この手前に新道の入り口が有るのを確認ワリビキ→ と書かれた標識が有るワリビキではなくてワレメキなのだがね~まあいいや。ここをトレッキングルートとして利用する方は、不動の滝と夫婦滝を目標に歩いて来る。河床に沿った通称 下の道 も有る事は有るが、分かりづらいので一般的では無いので皆ここを歩く。
オイラも何度か不動の滝には訪れているが今回は寄り道しないで先を進む。
道は、この先のゴルジュ帯を避けるように高巻きをして再び沢底に降りて徒渉して本格的に山体に取り付く。問題はこの高巻き道だ。まさに足を滑らせたらただでは済まない岩場を、鎖やロープを頼りに進まねばならない。
裏巻機渓谷より巻機山に登る道と考えた時に、まずネックになるのが永松渓谷のゴルジュ帯の突破だ。多くの人の目に触れるこの五十沢地区からの巻機の山容が何故 表 と成り得なかったのかは、やはり人を寄せ付けないこの地形に有ったのだろう。上部の緩やかな稜線の基部には、まさに人の立ち入りを拒む険しい渓谷が守りを固めて居るのだ。山慣れて居るつもりのオイラでさえ肝を冷やす高巻き道の通過で有る。この道は人を選ぶのだ。そんな訳で、比較的安全な新道の開通と成ったのだろうが、此方の道も一山越えて大窪沢に降りて徒渉してから山体に取り付くのだからタフな体力と精神力を要する。結局登山道がこちらからだけだったら、今の巻機山の隆盛は無かったのだろう。
落ち着くな~ |
気の抜けない高巻き道を登り切った松の根元に三合目の標識が有り、そこから約150m下降して徒渉点に降り立つ。ゴルジュや滝が続く沢にして、じつに穏やかな流れで、飛び石伝いに対岸まで渡れる。緊張から解き放たれて、ドカッと岩に腰を掛けて休憩をとる。通り雨にやられ、おまけに朝露を払いながら来たので、全身びしょ濡れだ。少し肌寒いのでかえって動いていた方が良いので、スプレーのマーキングに導かれて登山道に取り付く。
尾根伝いの急登が延々と続く。人の通りは疎らなのだろう、足元の土はそれ程踏まれていない感じだが、手入れの行き届いた道は明瞭で迷う心配は無い。野生の動物の気配に怯えながら黙々と登り続け、森林帯から灌木帯そして小沢を岩伝いに登ると綺麗に刈り払われた道が見事だ。霧の間から時折見える景色は感動的である。どれくらい歩き続けてるのか気にもしない程、素晴らしく感性を刺激する道。2度目とはいえ前回の記憶は、ほぼ無い状態なので未知のルートを辿る好奇心がそうさせる。
やがて、色付き始めた草はらに飛び出す。ここに九合目の簡単な標識が有る。もう一登りで牛ヶ岳だ。一瞬風に流されたガスの間から巻機全山が姿を現す。春に成ると残雪を求めて滑りに来るオイラのお気に入りのスロープだ。そんな拘りが有るものだから、目に映る景色がすべて愛おしい。
ガスの切れ間から巻機山全山が顔を出す |
割引山 こちらの方が遥かに登頂感が有る。 |
徒渉点より牛ヶ岳まで約2時間全行程で4時間半程。牛ヶ岳 三等三角点の訪座を済ませて、なだらかな稜線を辿り割引岳へ向かう。急に増えた登山者と挨拶を交わしながら再び人けのない割引岳へ。なだらかで登った感が無い本山に比べると、かるかに山頂を踏んだ感が有るのだが、何故か皆さんこちらには来ない。一等三角点も有ると言うのにね。今日は珍しく親子登山のファミリーの方が先着していらっしゃった。
ここで今日初めての補給。パンと野菜ジュースを腹に詰め込む。ずぶ濡れの身体に風は容赦は無い。酷く寒く成ったので、合羽上下を着込んで新道を下り始める。
こちらの道も草を刈って頂いており道は明瞭。ずんずん降りて行くとガスが取れ始めてお日様もお山も顔を出す。北風と太陽 お日様の力は偉大で合羽をたたんでザックに突っ込む。そして残雪のスロープを思い描きラインを引いてみる。滑るべき斜面の宝庫だ。嬉しくてニヤニヤしながら急な下りを降りて行く。
雪が付いた時の斜面を思い描く |
大窪沢の徒渉点 ほっとします。 |
旧道は高巻きから徒渉点まではなかなか厳しいかった。そこから先は比較的歩き易かったが、新道は、道の手入れは良いのだが延々と急な勾配の道が続く。欲しい所にロープが無い個所も有り、ちょっとここは登りには使いたくない道だ。思いの外難儀をして降り、大窪沢の徒渉点まで降りて来るのに結構時間も掛かった。この徒渉点も心落ち着く場所。ここで一息入れてもう一山越えて行く。旧道の危険な高巻き道と比べると遥かに安全な山道だ。大窪沢の沢底から尾根を越えて約一時間で朝歩いて来た裏巻機のトレッキングコースに出る。ここからは朝歩いて来た道を引き返すだけ。満足感に浸りながら帰路に着く。大岩壁が見事だ。
迫力のフェイス |
気が付けばお気に入りの今シーズン新調したばかりのシューズに穴が開いていた。・・・がっくり。
それから、何で今日に限りトレッキングポールなんて持って行く気に成ったんだろう。邪魔でしょうがなかった。
本日の行動時間 09:23:09 活動距離 20.3km
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