まだ山に行く準備は何もしてなかった。シールでさえ、昨年最後に滑った時から点検すらしてなかった。糊は何とか生きて居て今シーズン一杯くらいは平気だろう。持ち物を思いつくままにザックに突っ込んで準備は完了。ただ、スコップを積み忘れて仕舞ったのが唯一のミスか。
朝起きると雪がちらちらと降っている。雨雲レーダーには雲らしきものは殆ど映って居ないので、直ぐ止むだろうと判断して出発。
コンビニで食料を調達して清水に向かう。道中で朝っぱらから走っている後姿が見えたので、もしやと思い追い抜き様に確認。やはりマサ君だった。車を停めて呼び止めて暫しお話。頑張っているね~オイラもそろそろ走らなきゃな。
何時もの西後谷のバス停の所に駐車して様子を窺う。休日だと言うのに他に駐車してる車は無。もう7時は回って居るのにね。大体この時間だと既に先行者は出発してる時間なのに誰も居ないみたい。
しかし雪が少ないね。何時もは、道路から這い上がるのに難儀する位の積雪が有ってもおかしくない時期なのに。
車内でごそごそと朝食を済ませ、出発の準備をして板を履き歩きだす。勿論トレースは無い。踏み込むと30cm前後潜るラッセル。それ程難儀では無いが、サクサクと歩ける訳では無いので、少し時間が掛かりそう。
先行者が無いと分れば、行先は巻機山のノーマルルートの井戸尾根だね。深沢やノミオ沢も良さそうだったけど、大体シーズン初めは巻機山に登る事にしてるので、ここで良しだろう。
歩き始めて40分程で桜坂に到着し、何時もの様に右側の斜面に取り付いて井戸の壁に向かう。どうやら清水集落からのトレースも無い様なので、一人旅決定みたい。僕の後ろに道は出来る状態だ
。
天候は徐々に回復してきて、朝日が顔を出したり隠れたりしてる。どうもスカッとは晴れないみたいだけど、崩れもしないだろうと判断して、お日様の作りだす樹の陰の模様を楽しみながら上へ上へ。
やはり雪は少ない。灌木が埋まり切ってない。量と言うよりは降り方の問題なんだろうな。ドカッと一時期に降って、その重みで細い木々は押し倒され、その上に容赦なく降り続き埋まってしまう感じで藪や灌木は埋まっちゃうのだろうが、今年はそのドカッってのが無かったんじゃ無いか?
井戸の壁を大きなジグを切りながら登り切る。この辺りだと斜面の影響も有り、所によると太もも位のラッセル。でもまあ雪が比較的軽いので苦にならない程度。表面付近に昨晩降った軽い雪が乗っかり、その下にやや締まった雪。
5合目に桜坂から約2時間で到着。楽なラッセルだと思っていたが、ヤッパリじわじわと時間を食っちまう。
ガスの晴れ間から深沢上部やノミオ沢上部の様子が見えた。あっちも可なり良さそうな感じ。米子沢も何とか埋まり切っている様子。それより何といってもナメ沢の具合が可なり良さそうで滑走欲をそそられる。まだクラックも入って無いし、良さそうなパウダーが溜ってる・・・。幾筋か表層雪崩の後が見えるが大した事無さそう。・・・行くか?。まあそれは後から考えるとして、大分時間を食っちまってるから先を急ごう。
ナメ沢に光が差す。行けば良かったか? |
林間をひたすらラッセル。気温が低いので汗など出やしない。5合目より1.5時間で7合目の物見平到着。ここは風の通り道なので、酷く寒い。ジャケットを着込み、手袋を変え防寒の為にヘルメットとゴーグルを装着。この辺から上はクラストしてる事が多いのだが、風で締まった新雪が続く。時折ガスが湧き視界を閉ざすが、何とかニセ巻までは行きたいので、もくもくと登る。檜穴の段の急斜面は左側の沢の頭から巻いて行く。ここにも吹き溜っていて滑りに期待が持てる。
なまった身体が恨めしい。少し歩いては立ち止まるの繰り返しで、何とかニセ巻に到着。出発してから4.5時間程掛かってる。時刻は13:00。ここからシールを剥いで滑り下りてブサ尾根を登り御機屋まで行きまた滑り降りて登り返してきて1.5時間ってところかな。行くか。
スキーを外してる手間も勿体ないので、履いたままシールを剥ぎ、無造作にたたみ、ジャケットのポケットに突っ込みドロップイン。風で叩かれた重めのパウダーだが底当たりも無く至福の滑り。
ボトムに到着。時間的には30秒位かな?。こんな短時間の快楽の為に何倍の時間ハイクアップするのやら。
ご満悦 |
シュプールを背にもうひと登り |
またシールを貼り広いブサ尾根を登る。今滑って来たシュプールを眺めご満悦。
ほんのひと登りで広い山頂稜線に。またもや板を脱がずにシールを剥ぎ、ポケットに突っ込み何時ものラインに滑り込む。何時も風で叩かれて荒れて居るのだが、タイミングが良かったのか新雪で覆われている。だけど面ツルに見えるが風の当たり方で雪の密度が違うので、バランスを取るのに苦労して綺麗にシュプールが書けない。滑り下りて情けないお絵描きを眺めながらパンを頬張る。
だらしないお絵描き |
短い休息のあと、またシールを貼りニセ巻へ登り返す。ほんの数分だ。
もう使わないシールを綺麗にたたみザックに仕舞いパウダーの溜った沢に滑り込む。結構な急斜面だ。至福のパウダーライド。
適当な所でトラバースして物見平へ。
物見平付近の緩斜面はターンする必要も無く、ド後形でチョッカリ林間に飛び込む。埋まり切らない灌木の影響で何時もに増してタイトなラインを選択しなくちゃいけないが、重めのパウダーのお陰で適度にコントール出来、狭いラインを抜けて行く。サイコーだ~。
斜度が緩むとスピードが乗らずターンが難儀に成る。仕方なく、コントロールしやすい様に左右の板をシャッフルしながらブナの間を抜けて行く。
何時も苦労する井戸の壁の急斜面も、気持良く狙い通りのラインを引き、雪原に飛び出す。
満足感に浸りながらだらだらと桜坂に帰って来た。ニセ巻から45分ほどか。どうやら今日お山に入ったのはオイラだけだった様だ。
朝の自分の着けたトレースに乗っかり帰路に。途中からその辺で遊んでるラッセル泥棒さんが踏み固めて高速道路に成っていた踏み跡をハイスピードで飛ばしトンバ号まで帰り着く。
快適巻機山独り占めだった。
出発7:50 桜坂8:30 五合目10:20 物見平11:40 ニセ巻13:05 山頂稜線13:50
ニセ巻14:30 桜坂15:10 帰着15:25
2 件のコメント:
ご無沙汰でした。
相変わらずのお絵かき、素晴らしいですね!
此方まだまだ修行不足です。
平年よりだいぶ降雪量が少ないようですが、
米子沢は何とか滑れそうですかね~?
(ノミオ沢・ナメ沢はとても無理なんで)
お会いできる日を楽しみに致しております。
EVA父さん
ご無沙汰しております。
雪が少ない状況が続いておりますが、五合目より偵察した限りでは米子沢は何とか埋まっているように見えました。只、いつもの滝の辺りは薄い様に感じましたが流芯を避ければ大丈夫かと思われます。
どうもまだ巻機周辺から出られそうも有りません。魅力的な斜面がまだ沢山残っているのでね~。後何年掛かるか分りませんが一つづつ潰して行こうと思います。
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